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【大人向け】わかりやすく解説!日本のヤングケアラー支援の取り組み

はじめに

皆さんは「ヤングケアラー」という言葉をご存知でしょうか?

2024年6月には、国がヤングケアラーの支援強化を図るため「ヤングケアラー」を国や地方公共団体等が支援するべき対象として法的に位置付けたことで、その存在が改めて注目されています。

近年、国や各自治体で様々な支援が検討されていますが、その内容については詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。

今回は「日本のヤングケアラー支援の取り組み」についてわかりやすく説明していきます。

まずヤングケアラーについて詳しく知りたい方はこちらから▼

令和2年「ケアラー支援条例」@埼玉県

令和2年、埼玉県にて「ケアラー支援条例」が施行されました。
この条例は、全国で初めてヤングケアラーを支援するべき対象と定義し、以下のようなことを定めています。

  • 教育機関においては、ヤングケアラーの意向を尊重しつつ、健康状態や生活環境等を聴取し、支援の必要性を把握すること
  • 支援を必要とするヤングケアラーからの相談に応じ、適切な支援機関への案内や取次ぎ等を行うこと

埼玉県ではこの条例を基軸とし、ヤングケアラー・若者ケアラー向けのLINE相談やオンラインサインの実施、普及活動(ヤングケアラーに関する出張講座・リーフレットの配布等)など、社会全体でヤングケアラーを支えていく支援体制づくりに取り組んでいます。

この条例をきっかけに、他の自治体でもヤングケアラー支援の検討が行われるようになります。

令和2年「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」@厚生労働省・文部科学省

令和2年、厚生労働省と文部科学省により、ヤングケアラー本人を対象とした全国調査が初めて行われました。
この調査で「世話をしている家族がいる」と回答した割合は、中学生の17人に1人、全日制の高校の生徒の24人に1人にのぼり、ヤングケアラーと思われる子どもたちの存在は、決して少なくないことが明らかになりました。

また、ケアの内容は〈家事〉〈身体的な介護〉〈通院の付き添い〉〈感情面のサポート〉〈金銭管理〉等多岐にわたること、ケアをしていない子どもと比べて身体的・精神的負担を感じている割合が高く、学校生活にも影響(欠席・遅刻・早退・忘れ物等)が出ていること、子ども自身にヤングケアラーという自覚がない場合があり、実態把握が困難である状態等も浮き彫りになりました。

この調査結果を受けて、国は以下の支援策をまとめました。

令和3年「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・教育の連携プロジェクトチーム報告」

この報告では、大きく以下の3つの支援策が立てられています。

  • 早期発見
    本人や家族の自覚がない、家庭内の複雑な問題であるなどの理由から、表面化しにくいヤングケアラーを支援するため、様々な分野が連携しアウトリーチによってヤングケアラーを早期発見する。
    例】教育・医療・福祉関係者等に向けたヤングケアラーへの理解を促す研修の実施、実態調査など
  • 支援策の推進相談支援等)
    各地方自治体が行う、支援者団体等を活用した悩み相談を行う事業や適切な福祉サービスへのつなぎなどをが効果的に行われるよう、ヤングケアラーの支援体制の在り方を検討する。
    【例】対面相談、電話相談、SNS等のオンラインによる相談、スクールソーシャルワーカーの配置等
  • 社会的認知度の向上
    「ヤングケアラー」という言葉の社会的認知度は高くなく、子どもたちへも周知させる必要がある。2022年~2024年の3年間を「集中取組期間」とし、ヤングケアラーの社会的認知度の向上に集中的に取り組み、既に調査を行っている中高生について、認知度を5割にすることを目指す。
    【例】リーフレットやポスターの掲示、全国フォーラムの実施、オンラインイベントの開催等

令和4年「ヤングケアラー支援体制強化事業」

令和4年からは、「ヤングケアラー支援体制強化事業」等を実施し、地方自治体における実態調査、関係機関研修、支援体制構築等の取り組みを推進しました。

しかし、この時点でヤングケアラーは支援に関する法制上の位置付けがありませんでした。さらに地方自治体内においては、支援の実施主体や支援内容が明確でないことに加え、地方自治体ごとのヤングケアラー支援の進捗状況や、支援内容に統一性がないことが問題視されました。

令和6年「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」

この状況を受け、令和6年「子ども・若者育成支援推進法」が改正されました。

この法改正でヤングケアラーは「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として定義され、国・地方公共団体が支援に努めるべき対象としてヤングケアラーが明記されました。

支援の対象年齢も18歳未満だけでなく、子どもから若者への自立に向けた重要な期間も切れ目なく支援するという観点から、状況に応じて40歳未満も支援対象になりうるとし、以下のような具体的な支援の推進を図っています。

  • 市区町村における記名式等による実態把握
  • 支援の必要性、緊急性の高い者への優先的な支援
  • 市区町村と都道府県の役割分担及び予算事業の活用
  • 支援体制の整備
  • 国民の理解の増進
  • 調査研究の推進・人材の養成
  • 支援機関連携による包括的な支援

まとめ

着々とヤングケアラー支援が推し進められている一方で、2023年にこども家庭庁が民間の調査会社に委託して行った調査では、ヤングケアラーの相談窓口等を設置している自治体は全体のわずか8%という結果が出ています。

「ヤングケアラー関連の取り組みは特にない」と回答した自治体も全体の30%にのぼりました(内訳:都道府県2%、一般市町村35%)

まだまだ、支援体制は不十分であり、各自治体の足なみもそろっていない現状があります。
日本のヤングケアラー支援はまだ始まったばかりなのです。
今後も、さらなる国の支援の取り組みが期待されています。

終わりに

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株式会社Empathy4uでは、ヤングケアラー実態調査、SNS相談、オンラインサロン、支援者向け研修などヤングケアラー支援を積極的に行っています。お問い合わせは会社HPからご連絡ください。

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この記事を書いた人

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