はじめに
みなさんは「きょうだい児」という言葉をきいたことがありますか?
もしかしたら、「きょうだい児」よりも「ヤングケアラー(家族のお世話やお手伝いをしている子ども)」という言葉を聞いたことがある人の方が多いかもしれません。
▼ヤングケアラーについてのくわしい説明はこちらから
実は、このヤングケアラーの中でも、兄弟や姉妹のお世話をしている「きょうだい児」の割合は多いことがわかっています。
今回は「きょうだい児なんてはじめてきいた!」という人でもわかるように、くわしく説明していきます。
「きょうだい児」ってどんな人?
「きょうだい児(きょうだい)」とは“病気や障害のある人の兄弟や姉妹“のことです。
くわしい例をあげると
- 発達障害(例:人と上手く話したり、相手の気持ちに気付くのが苦手)の兄弟・姉妹がいる
- 知的障害(例:勉強するのむずかしかったり、思っていることをうまく言葉にできない)兄弟・姉妹がいる
- 精神障害(例:気分の波があったり、妄想があったりする)兄弟・姉妹がいる
- 身体障害(例:からだが不自由)の兄弟・姉妹がいる
このような場合は「きょうだい児」にあてはまるかもしれません。
きょうだい児はどのくらいいるの?
実は、日本にどのくらいきょうだい児がいるのかは、まだくわしくわかっていません。
ただ、ヤングケアラーについて調べた国の調査(令和2年)では、家族の中でも「きょうだいのケアをしている」と答えた人が1番多い結果となっています。(ケアをしている理由として「幼いきょうだいがいる」と答えた人たちもふくみます)
また、障がいをもっている人たちを調べた国の調査(令和6年)では、日本にはおよそ1160万人の障がい者がいるとされています。この数は年々増えているので「きょうだい児」の数もだんだんと増えているかもしれません。
きょうだい児は誰をお世話しているの?
2007年の調査によると、きょうだい児がお世話をしているのは、弟(34.2%)が一番多く、続いて兄(24.5%)妹(24.1%)姉(15.1%)となっています。
また、兄弟・姉妹がもつ病気や障がいで多いのは、知的障害(87.3%)身体が不自由(14.9%)発達障害(6.4%)精神障害(4.0%)の順に多い結果となっています。この中で、およそ半分の人が兄弟・姉妹の病気や障がいは「生まれつきである」と回答しているので、きょうだい児は小さい頃から家族のお世話をしている人が多いかもしれません。
きょうだい児がほかのヤングケアラーと違うところ
きょうだい児は、ヤングケアラーという言葉と一緒に話題になることがありますが、ほかのヤングケアラーとは少し違うところがあります。例を一緒にみていきましょう。
- 病気や障がいのある兄弟・姉妹と同じ空間にいることが多い
病気や障がいがある兄弟・姉妹とは、家だけでなく学校でも一緒にいる場合が多いです。そのため、学校での「兄弟・姉妹のお世話」をする役割を期待されるかもしれません。
- 家族からの期待
例えば「障がいがあるお兄ちゃんを支えてほしい」と言われたり、周りと同じように勉強したり、働くことが難しい兄弟・姉妹の代わりにがんばってほしいと期待されることもあります。
- 将来の悩み
受験の時期や結婚の時に、病気や障がいのある兄弟・姉妹がいることで悩むことがあるかもしれません。たとえば「結婚相手の家族が弟を理解してくれるかな?」「これから妹の介護をどうしたらいいだろう」と悩むことがあります。
これ以外にも、兄弟・姉妹をお世話していく中で、「私ががんばらなきゃ!」というプレッシャーを1人で背負ったり、家族の誰にも言えない気持ち(病気や障がいの兄妹・姉妹を恥ずかしく思う気持ちやねたむ気持ちなど)をもつかもしれません。
きょうだい児が感じること
きょうだい児は次のような悩みや気持ちを抱えやすいと言われています。
Sibkotoホームページより引用 https://sibkoto.org/about-sibling
- 親が障害のある兄弟姉妹のケアに忙しく、孤独感を抱きやすい
- 兄弟姉妹の発作や命の危険がある様子などを間近で見て、辛いと感じる。
- えらい子・できる子であることを期待される。
- 子どもの頃から、自分のことよりも障害のある兄弟姉妹のケアを優先する生活を送る。ヤングケアラーとなる場合も。
- 障害者やその家族に対する世間の偏見に悩まされる。
- 障害のある兄弟姉妹から、日常的に、暴力や嫌がらせなどを受けるきょうだいがいる。
- 進路・結婚・出産を考えるうえで障壁となることがある。
- 「生涯にわたり、障害のある兄弟姉妹の面倒を見なければならない」というプレッシャーがある。
もちろん、全てのきょうだい児がこうした悩みをもっているわけではありません。なかには「こんな悩みないし、別に辛くもないよ!」「これからも兄弟・姉妹を支えていきたい」と感じる人もいます。同じ「きょうだい児」でも悩みや思いは人それぞれなのです。
「私はきょうだい児なのかな?」と思ったら
病気・障がいのある兄弟・姉妹のことで、辛くなったり、心がもやもやしたら、学校の先生や周りの信頼できる大人に一度相談してみましょう。また、きょうだい児について調べてみるのもいいかもしれません。
きょうだい児について書かれているサイトや相談先は下のリンクから調べることができます。
- Sibkoto(シブコト)のホームページ
きょうだい児についての情報や、相談先をみることができます。また、サイト上で同じ立場の人たちと交流できる居場所があります。
- こども家庭庁のホームページ
ヤングケアラーについての説明や住んでいる所の相談先を調べることができます。
終わりに
私たち「Empathy4u(エンパシーフォーユー)」という会社は、きょうだい児の人やヤングケアラーの人たちを支える活動をしています。
会社の公式アカウントX(@EmpathyMedia4u)では、会社の活動の様子やヤングケアラーの人たち向けの情報をつぶやいているので、いつでものぞきにきてくださいね。