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【大人向け:ヤングケアラーがしていること】精神疾患の家族をケアする子どもたち

はじめに

令和6年版障害者白書によると、精神障害者の患者数は600万人をこえ、その数は年々増加していると言われています。
最近は、その陰にいた「精神疾患の家族をもつ子ども」の存在に光が当てられ、子どもが直面する困難について明らかになってきました。

「ヤングケアラー(家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者)」の中でも、精神疾患の家族をケアしていると答えた子どもは少なくありません。

ヤングケアラーについての解説記事はこちらから▼

今回はそんな「精神疾患の家族をケアする子どもたち」について詳しく解説していきます。

そもそも精神疾患とは?

精神疾患とは”脳の機能や構造が何らかの要因で変化あるいは障害されることで、様々な精神症状や身体症状などが出る病気“のことです。例えば以下のような精神疾患があります。

  • うつ病
    日常生活に支障が出るほどの強い精神症状や身体症状が出る病気。精神症状(悲しみやイライラ、憂鬱な気分など)だけでなく、身体症状(倦怠感、睡眠障害、頭痛など)が生じることがあります。
  • 統合失調症 
    自分の考えや行動がまとまらなくなる状態が続く病気。主に陽性症状(妄想・幻覚など)陰性症状(感情鈍麻・意欲の欠如など)認知機能障害(記憶力の低下・注意力の低下など)の3つの症状に分けられます
  • パニック障害
    突然襲う強い不安や恐怖によって身体症状(動機・呼吸困難・めまいなど)を伴うパニック発作が繰り返し起こる病気。


この他には、双極性障害(気分が落ち込むうつ状態と過活動になる躁状態を繰り返す病気)や依存症(その行為をしないと満足できず、行為を自分で止められない病気)など、様々な精神疾患があります。
また、あまり精神疾患のイメージがないかもしれませんが、てんかんや高次脳機能障害(記憶障害・注意障害・病識欠如など)も精神疾患の分類となっています。

子どもたちの実態①:誰をケアしているのか?

そんな精神疾患の家族をケアする子どもたちですが、一体誰にどのようなケアをしているのでしょうか。

2016年2018年2020年に行われた調査によると、祖父母・父母・兄弟姉妹のうち、母親のケアでは「精神疾患」、父親のケアでは「依存症」が他と比べて多い割合を占めていることがわかっています。

そのため、精神疾患の家族をケアする子どもたちは特に親をケアしているケースが多いと考えられます。実際、近年においては「精神疾患の親をもつ子ども」を対象とした調査研究が進められるなど、その存在が注目されています。

子どもたちの実態②:どんなケアをしているのか?

次に、精神疾患の家族をケアしている子どもたちが行っているケアについて、体験者の声をもとに例を挙げてみていきましょう。

  • 家族に代わって家事(洗濯・掃除・料理など)を行っていた
  • 幼い兄弟姉妹の世話をしたり、親の代わりに学校の先生に対応したりしていた
  • 医療的なケアをしていた(病院の受診に付き添う、薬の管理など)
  • その時の家族の状態に合わせて、励ましの声かけをしたり、寄り添ったりしていた
  • 徘徊や妄想などの症状に対応していた
  • 家族の暴力や暴言を受け止めていた
  • 自傷行為や自殺未遂など、本人の命が脅かされる場合に応急処置や救急車を呼ぶなどの対応をしていた

「ヤングケアラー」というジャンルの中で「精神疾患の家族をもつ子ども」がしているケアを語ると「見守り」や「感情面のサポート」などがよく挙げられますが、実際にはそれ以上のことを行っているケースがあります。

実際の体験談はこちらから▼

子どもたちの実態③:子どもが直面する困難

最後に子どもが直面する困難についてみていきましょう。精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」では、子どもの立場が抱える困難として、以下のような例が挙げられています。

・普通の家庭で育った子どもがあたりまえにしていることをいろいろとあきらめて生きてきた部分があります。

・いわゆるヤングケアラーとして子ども時代を過ごしたひともいます。

・親が病気とは気づかずに育つケースがたくさんあります。

 (通院していても子どもに対して説明しない場合も多いです。)

・ネット検索して毒親だと思っていた。精神疾患だったとわかった時はホッとしたという人もいます。

・被害妄想や幻聴があるにもかかわらず、当事者に病識がないことも多く、未治療の場合もあります。

 そのような場合、子どもは成人後に「うちの親は病気なのではないか。」と気づくケースもあります。

・親が病気と気づいても「病院に行って欲しい」とはなかなか言えません。親と対等に話のできる生活環境で育っておらず、親には何を言っても無駄だと思い込んでいる場合もあります。

・親が病気であるために、家庭生活においていろいろと制約があったり、愛情を受けていなかったりします。

・たとえ友達がたくさんいたとしても、自分の家庭の深刻で特殊な悩みを話すことはできず、孤独な気持ちで生きてきた人が多いです。

・病気の親と二人きりの家庭もあれば、病気ではない親やきょうだいがいても家族がバラバラで孤独だったという家庭もあります。

精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」ホームページ https://kodomoftf.amebaownd.com/ 2024.12.18引用

こうして子ども期に直面した困難は、その後の進学・結婚・出産等、継続的に影響をもたらすことがあります。もちろん全ての子どもがこうした困難に直面するわけではありません。

周りの大人は何ができるのか

精神疾患の家族をもつ子どもたちの多くは

  • 精神疾患に関する世間の偏見や家族の無理解
  • 「家族で支え合うべき」という家族規範の意識
  • 家族の精神疾患を知らないまま家族に対応している
  • 物心ついた時から家族の対応をしていて、辛い自覚がない

などから、自分のからSOSを発信することが困難な状況に置かれています。
そのため、子ども側からのSOSを待つだけでなく、社会側から気づく姿勢も求められています

どこか元気がない、遅刻や早退が増えている、学校の教員対応を子どもがしている…それは、子どもたちからの小さなSOSかもしれません。
そんな時はこちらから声をかけ、無理に話を引き出そうとせず「いつでも相談できる場所がある」ことを知ってもらいましょう。

詳しい対応方法については、ぷるすあるはさんのホームページを参考にしてみてください。

終わりに

EmpathyMediaでは、
・ヤングケアラーの方
・元ヤングケアラーだった方
へのインタビューを行っています。ご興味を持っていただいた方はお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

公式X:@EmpathyMedia4u

EmpathyMediaは「生きにくいを、生きやすく」の株式会社Empathy4uが運営しています。
株式会社Empathy4uでは、ヤングケアラー実態調査、SNS相談、オンラインサロン、支援者向け研修などヤングケアラー支援を積極的に行っています。お問い合わせは会社HPからご連絡ください。

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この記事を書いた人

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